◎なんでアルバムを作ろうと思ったの?
「もともとアルバム自体は凄い作りたかったんやんか。でも、それに着手するまでの気力がなかったからさ。だから、単発の仕事とかやってて」
◎でも、作るっていい始めてからかなり長かったよね?
「長かったね。まぁ、資金面的なとこもあったしね。あと、俺の中であんまり定まってなかったってのも大きい。誰を入れたいとかさ。それに比べたら、ShinSightとか、ラップする奴は決まってるからさ。要は、1人のラッパーやから、トラックで幅を持たせられる感じやん?綺麗なんから、おもろい感じのとかさ。そういう
意味であれはやりやすかった」
◎でも、幅が広いっていう意味では今回も一緒じゃない?
「そうなんかな?なんか、一貫性みたいなのを出したくて。逆にShinSightではInsightの一貫性っていうのを考えた上での俺の振り幅やったから」
◎やりたい放題やってるじゃん、今回も(笑)
「そうかなあ……?なんか、イメージ的にはBeatnutsの「Street Level」と砂原マリンを足した感じやねん」
◎(笑)。無いね。
「なんか「Take Off And Landing」とかのマリンさんの1本で統一された感じ。音色とかも似てるねんけど、聞き飽きへん、みたいな。それと、Beatnutsのあのゴチャゴチャした中にもネタ師的な拘りのある。あれを足して2で割った感じ。昔からしたかったのよね」
◎具体的に定まったのは何時頃?
「具体的にはないなー。ただ、自分の中で「まだや」とか思ったんちゃう?でも、土台の無いところでさ、いきなりアルバムっていうのは、多少怖かったんかな。周り見ててさ、いきなりアルバム出して、良いアルバムなのにこけた、とか。名前が通ってへんからさ、誰も買わへんで埋もれていったとか、結構あるやん?そういうのが嫌やったから、俺は取りあえず名前を外に出そう、って。リミックスもいっぱいやったし、ShinSightとかもその一環やったし。あれも「Shin」って名前は入ってるけど、前面に『Shin-Ski』っていうのを出してる訳やないやん?」
◎そう考えたら、自分名義の作品って初?
「まぁ、ブルクロ(Blue Chronicle)もちょっとちゃうし。だから、俺名義っていうのは初。そうやって名前を通すのもいいかな?って」
◎で、自信がつきました、と?
「自信ていうよりは、「もう、いいかな?」って。ていうか、ここでやっとかへんかったら、先に進まれへん、みたいなのもあったし、ちょうど良い頃合いやったんやと思う。自分の中でずっとビート作り貯めててさ。殆どボツにはなったけど(笑)。ボツっていうか、やっぱり、ビートって作ってるその時は凄い良かったりもするねんけど」
◎前に聞かせて貰ってたやつは殆ど入ってないもんね。さて、まぁ、それだけ練りに練ったアルバム。まず、コンセプトから伺いましょうか?
「基本的にさ、俺が東京に来てから作ったもんばっかりやから。アメリカと日本と物事の考え方もちゃうし、音の好みとかもちゃうし。アメリカにいたら、こういうアルバムは作れへんかったから、日本にいる俺の集大成。帰ってきてから色々なもんに影響も受けたし。それが1つの区切りになって、その中で色んなモノを聞いて蓄えた上での今出来ることの最終形。だから、コンセプトとかあんま、ないのよね」
◎そういうのとは別にアルバム全体の流れとかは気をつかったんでしょ?
「そりゃ流れとかは気をつけたけどさ、それはアルバム全体の音的な部分であってさ、その後ろにある主張みたいなのは特にない」
◎じゃあ、タイトルはどうなのよ?
「なんか、東京ってグッチャグチャな感じするやん?俺も帰ってきて凹んだりとか、負けそうになることもいっぱいあったんやんか。当然、楽しいこととかもあったんやけど。アメリカにいた時に、俺はこれだ!って纏まってたものが、良い意味でも悪い意味でもグチャグチャに千切られた感じやな。だから、「Shattered Soul〜」って千切れたソウルっていうタイトルをつけたんやけどね。後半の「〜On A Pastel Sky」っていうのは、東京はいつも空曇ってるしさ、俺の中でのぼんやりした東京のイメージ。ていうか、日本のイメージ」
◎尼崎生まれ、アメリカ育ちが東京をコンセプトに(笑)
「(笑)。東京をコンセプトって訳でもないねんけど、活動拠点が今、 ここやからさ。今俺がいるところ、っていうね」
◎気になったことがあってさ。以前、インストはやらないって言ってたじゃん?結構入ってたよね?スキット的なのもあるけど。
「そうね、4曲位入ってるかな?でも、純粋にインストってのは入ってないやろ?声が入ってたりとかさ。サックスのやつ(14."Harmonia Feat. Yuichiro Kato And Takasada Inada")だけは別やけど。あと、全部ラップでも良かったんやけど、それやとちょっと疲れるかな、って。あとは制作費的なもんもあったけど。あと、頼んでOKしてくれたけど、ネタが来ないとか(笑)。そういうちょっとした裏話もあったり。で、それの穴を埋める為に最初は作っててんけど、全部ラップ入ってるよりは良い意味でスパイスになるかな、って思ってきて」
◎このアルバムでさ、狙ったターゲット層とかってあるの?
「あー、あるある。確実に普段はこういう音楽を聴かない人達。作り手としてはさ、自己満足で終わりたくはない、みたいなさ。ほら、料理とかと一緒。一人で作って、1人で食うんやったら、そこまで拘らんでもええけど、誰かがいて、そいつが美味い!って言ってるのを聞くのが醍醐味やったりするやんか?それと一緒の感じかな」
◎でもさ、どっちもじゃない?例えば、料理人が金を稼ぎたければ、舌の肥えた客を相手にするよりも、もっと凡人に向けた味にするべきだろうし。でも、自分が美味いと思うものを作りたい、って人もいると思う
んだよね。
「まぁ、それは究極の自己満足の形やと思うで」
◎人に聴かせることを前提に作るのと、自分が良いと思ったものだけを作るのと、違うよね?
「全然ちゃうやん。だから、俺の中では今回バランスをとった感じなのよね。ホンマに自分がやりたいことって、多分、今やったら出来ひんと思うし。自分の心意気みたいなもんとかもあるし。今やったら、完全な独りよがりになるやろうし、別に独りでよがりたい訳じゃないしさ、そういうのは後々、作る機会もいつかは出来るやろ、と思ってるから。ただ、悪い話が、要は売れるためだけに作るっていうのとは違うやん?そういうのは俺の中ではNGやから。だから、まぁ、半分半分位の割合で。自分のやりたいこと半分、人が聴いて「これ良いよね?」って言ってくれるような、外からのフィードバックを狙った部分が半分。良いバランスで作れたかな?とは思ってる」
◎自分的に不本意だったとことかはないの?
「それはない。基本、やっぱり自分の曲やし、全部好き。善し悪しはあるんやろうけどさ、それはあくまで人が決めることであって、俺の中では全部善し」
◎話を戻すけど、俺は前に聞いたヒップホップのインストに対する考え方が、かなり衝撃的だったのね。で、Shin-SkiがヒップホップのDJする時って9〜10割は全部ラップじゃない?でも、ハウスのDJする時は別にヴォーカルなくてもかけるでしょ?その差は何?
「多分、嫌いなんやと思う(笑)。なんか、ヒップホップ・トラックって俺の中ではラップが乗ってるってのが大前提なのよ。ほら、ラップがなくなって、グルーヴが変わる曲ってあるやん?あれとか、凄い嫌で。 それで、俺はヴォーカル・トラックしかかけへんのやろうし。基本、人の声っていうのが好きやし、音楽の中で人の声っていうのがさ、ドラムと同じ位俺の中で重要な役割になってるのよね」
◎でも、Shin-skiはトラックメイカーじゃん?MCじゃなくて。(Lord)Finessみたいにトラックも作る、ラップもする、だったら分かるんだけど、トラックメイカーがラップの曲ばっかのアルバムを作って、なんか他人のアルバムだな?みたいに感じることはないの?
「それは全くないね。なんか、ラップっていうのが俺の中では楽器の一部のなのよ。要は、離れて考えるんじゃなくて、一緒くたになってる。ホンマ、楽器の一部ってのが一番良い表現なんかもしれんけど、それがあることによって、より一層引き立つ。決して、ラップ主体の、って感じでもないやん?人のラップってのは素材であって、なくてはならないもの。例えばさ、 あるトラックを俺は悲しい感じで作ってて、でも、それを投げたラッパーが全然関係ないアッパーなラップを返してきたとするやん?そういうのって、普通トラックメイカーとしては不本意なんやろうけど、俺はそれがラッパーのエッセンスで感じが変わったことに対して、良い方向で変わってたとしたら、それはそれでアリだと思うから。基準がカッコいい、カッコ悪いかだけ。基本的に音楽に善い悪いはないやん?好きか嫌いかやん。だからさ。それを俺が好きなら、それはそれでいいよ。そういうので、あかんくなったトラックっていうか、俺がちょっと違うかな?って思ったトラックはこっちが作り直したりもしてるし」
◎じゃあ、DJ Krushの作品とかはどうなの?
「あれはあれで完成されてるから、俺は凄い好きやで。別にヒップホップっていうもの自体に決まったフォーマットがあるわけやないやんか?その人自身がヒップホップやと思えば、ヒップホップやろうし。だから、俺の中ではKrushさんの諸作は凄いヒップホップやと思うし、凄いカッコいいと思う。けど、ただ、俺はあの空気感は出されへん。だから、俺は俺で自分が一番やりたくて、且つ、一番空気感の出せるものをやろうとした結果、今回のアルバムになった」
◎ShinSightのアルバムと差別化を図る為に気をつけた箇所ってある?
「取りあえず、基本、自分がど真ん中な曲を完全に集めたのが今回のアルバムやと思う。ShinSightの場合はInsightの多様性みたいなんがあるからさ、そこに頼った部分もある。これ、俺ではないけど、Insightがこれやると凄いカッコいいな、ってう曲も入ってるから。そこら辺はInsightと俺のケミカル・リアクション的なもんを考慮した上で作った曲も多いし。取りあえず、モチベーションに関してはどれだけいいモノを作れるか?っていうね。それしかないからさ」
◎じゃあ、客演アーティストの選考理由やら、参加までの裏話みたいなのを聞かせてよ。
「じゃあ、まずは相方(DJ Real)か。あれは、もう、鉄板ですから(笑)。俺さ、アメリカ行くまでは、そんなにヒップホップ、ヒップホップした感じじゃなかったやん?ずっとプリンスとか好きやったし、レイヴとかも好きやったし。それと平行した上でのヒップホップだったから。それが、相方と会って、あいつは、もう『どヒップホップ』なのね。その一貫性みたいなのを俺はカッコいいと思ったし。それを含めて、一緒に曲を作ったりしていく上で、そういう黒さみたいなのを教わったから。ヒップホップって、もうライフ・スタイルみたいなもんやん?それをあいつが本場でずっとその中で育ってきた黒さ。当時の俺には全然そういうのはなかったから。俺の中ではある種、師匠みたいなもん。そういう経緯も含めてね。一番最初に見たバトル・DJがあいつやったしさ。自分の幅を広げてくれた、っていう意味で尊敬の念もあって、どうしてもやって欲しかった。これからもやっていくと思うしね」
◎次がProcussions。
「俺、リミックスをやったやんか?あれが、エエ感じに仕上がってさ。 俺、基本的に普段自分の曲は聴かへんのやけど、あれ、結構今でも聴いたりしてんのよね。自分の中ではいい意味でマッチしたっていうかさ。 で、あの雰囲気が凄い好きで、ちょっと抜けてるような感じがしつつも、言うてることはタイトやん?ふざけたこと一切言うてへんし。それでも、あれだけパーティー感ていうか、グルーヴ感とかを出せるのが凄い好きで、そういうのを再現したいな、って思って」
◎次がDagha。
「Daghaもアメリカの時からずっと知ってるねんけど、一番凄いMC。ホンマに、何時聴いてもカッコいい。言葉の選び方もそうやし、デリバリーとか。ラッパーじゃ出さへんようなラップをすんのね。フロウとかは普通っぽいねんけど。Insightをもう一歩リリカルにした感じ。あいつ、メタファーが凄いカッコいいのね。俺の中では絶対。声とかも好きやしね。一緒にライヴしてるところを想像したら、凄いカッコいいやろうな、って」
◎じゃあ、Apani。
「Apaniは……まぁ、なんか女の子の声も欲しいな、って。」
◎それだけ……?
「いや、まぁ……前に日本来た時にアテンドとかもして仲良くなってさ、ライヴとかラップとか純粋にカッコいいな、と思ったからね」
◎じゃ、Othelloかな。
「Othlloはね。純粋に好き。声も好きやし、ちょっと、コンシャスなところも好きやし、俺の中では、もう、ガッチガチなのよ。なんか、イメージとしては、ちょっと濡れてる感じ。なんつーか、梅雨時のね、そんな感じ」
◎次のNikko?
「NikkoはDrezの嫁さんやねん。ホントはこの曲、N*talie G*rdinerっていうRAMJACから出してる女の子知らん?俺、その子が凄い好きで、その子に歌って欲しかったの。自分のアルバムを作ってるって言ってて、去年のクリスマス位には、その作業が終わるから、やるよ、って言っててんけど、曲も気に入ってくれてたし。なんか、そのまま制作が延びてて、これ以上遅れて迷惑かけるのも悪いから、今回はスルーしたいって言われてさ。この曲に関しては絶対歌やって思ってたから、誰か歌おらへん?って言ってたところに、こんなんいるよ、って聴かせてくれたのが、Nikkoやったんよね。1発でOKやったけど(笑)」
◎作品とか出してんの?
「まだかな?Drezのアルバムで何曲か歌ってるけど。この子もちょっと陰のある感じ。ポジティブやけど、しっとり」
◎じゃあ、スキットは飛ばして、Funky DL。
「これは、ほら、あのリミックスとかもあったし、今でも日本来た時はいつも飲んだりしてるし。たまたまこの曲が出来た時に「もう、これはDLしかないなー」って思ったのよね。それをそのまま送って、向こうもそのまま送り返してきて、至ってスムースに」
◎次はLouis Logic。
「Louisも純粋にファン。最初のシングルあったでしょ?あの頃から凄い好きで。やばい、やばいって言ってたからね。俺の中では、現代版BeatnutsのJuJuみたいな感じ」
◎じゃあ。Insight、というか、ShinSight Trio。何故、 敢えてShinSight名義にしたの?
「これは、もう、鉄板。次のアルバムへの布石的な意味も含めてね。この曲もDLのと一緒で、出来た瞬間に、「あー、これはInSightやわ」って。元々は、Insight名義で、と思っててんけど、それからShinSightっていうものが出来ちゃったから、いいやって。でも、俺はあいつにShinSightにするって一切言わへんかったんやけど、頭の出だしで「ShinSight」って言ってきてたし(笑)。あー、分かってんねや、って」
◎Time Machineは?
「Time Machineも、俺がアメリカにいた頃からずっと連んでた仲間で、アルバムも結構やってるし。そんな中で、いい関係っていうか、普通に友達やからさ、アルバムやる時はやって欲しいな、って思ってたし。そんな感じ」
◎Melodeeは?結構意外な人選ではあったけど。
「前にさ、シングル出たやん?あれ聴いた時に、「なんていいMCなんや!」って思って、コンタクトとって。で、ビート送ったら二つ返事でOKやった。ラップ返ってきたんも早かったしね」
◎次は……サックスの曲かな?
「あれは、俺のJohn Klemmer好きが高じて(笑)」
◎(苦笑)
「いや、もう好きで好きでしゃぁなくてさ、John Klemmerが。全部好き。いらんのにベスト盤とか持ってる位好き」
◎なんか、あの、迫力に欠ける感じがさ……。
「そこが、いいねん!あの、温い感じ。ずっと温い感じ。決してヴァァーって吹く感じやないやん?綺麗にメロディ・ラインなぞってさ。大好き。あと、不必要に多いディレイも(笑)。隙間も多いんやけど、その隙間を上手く使ってる感じがいいやん?John Klemmerと、あと、Paul Desmond。ホント、この2人好きで。で、今回出来た曲が、なんかJohn Klemmerのヌメッとした、ジトーっとした感じやったから、John Klemmerっぽい曲にしたいな、とか思ってたからさ。それで、誰かサックス吹ける人おらへん?って探してたら、たまたまCalmとかStudio Apartmentの曲で吹いてるKato Yuichiroって、シングルとかもCalmプロデュースで出してるねんけど。その人が吹いてくれるってなって。で、1人だとしょうもないから、相方さん呼んで、アルトとテナーで吹いてもらった」
◎こんなことを聞いていいもんか、微妙だけど、アルバムの中で一番思い入れのある曲ってどれ?
「あー……、でも、歌モノかな。Nikkoちゃん。俺が今までで一番やらへん感じの曲やろ?ていった意味では、俺の好きな音色とかラインとか、そういうのを飛び越した上で好き。「やったった!」みたいな達成感はあるね。今までの俺やったら絶対にあれはなかった色やからさ。それを形に出来て且つ、なんか、こう、自分で満足いく形でアルバムに収録できて且つ、違和感ないっていうのでね」
◎他は?Ryow君とか、オレ(Mista Donut)とか、ミックスやった梅さんとか。
「Ryow君は、まぁ、俺の中で神様的な存在やから。俺、あの人に凄い助けてもらってるからさ、色んなことで。いつも、ケツもってくれるし、一緒に曲作る時とかも、俺の持ってない部分をあの人は持ってる訳で。その中で出来る独特の感じ。言葉では上手く表せないけど、なんか、ちょっと俺等が普段やってることとは違うねんけど、2人が寄り添うことで形として出来上がる、みたいなさ。まぁ、それはどの曲に対しても言えるんやけどね。参加してなかったらおかしいでしょ?位の。ドーナッツにしても、普通に連れっていうんもあるけどさ、それ以上にお前の擦りとか凄い好きやし。俺の中でお前の擦りとか、結構バッチリな感じなのよ。俺の求める理想型の一個やもんな。なんか、みんないい意味で隙間持ってるのよね。ハメ具合やったりとかさ、音の隙間。 分かってる、分かってないはよう知らんけどさ、人のことやから、大切にしてる部分っていうのがさ、俺が大切にしてる部分と一緒や、っていうね。入れたい、とかじゃなくて、入れなきゃおかしい。ウメッスンはもう、魔法使いやから。かれこれ、5〜60曲はやってるんかな?今まで。最初からあの人だけでやってるし、俺が言わんでも、ある程度俺の好みの音に仕上げてくれるのよね。そのやり易さ。新しさとかは、多分、ないんやろうけど、ミックスってさ、結構ストレス溜まるやん?自分の音に近づけるっていうさ。気苦労して作り上げてくもんやけど、ウメッスンって、あんまそういうのがないのよね、長いことやってるから。あとは、俺が一番好きな音に近づけてくれるっていう安心感」
◎今回実現出来なかったコラボとかあるの?
「実現出来へんかったっていうよりも、Ed.O.Gの曲がさ、あいつ一回ラップしてるんやけど、データを間違えて送ってきてさ。間違えてっていうか、被せのほうだけ。で、データを送ってくれ、送ってくれ、って言ってんねんけど、あっちでデータを消しちゃったらしくて(笑)。Ed.O.Gも基本的に緩いからさ。なかなか再録をやってくれへんくて。結局間に合わへん、って。Masta Aceとかもやりたかったな。でも、ちょうど俺がコンタクトとってた時にあいつ、ラップやめるとか言ってた時で。また、復活したけどね」
◎じゃ、さっき話が出たけど、アルバムの構成には気を使ったんでしょ?
「うん、練ったね。一応、2部構成的な感じなんやけど、 DLの曲が1部の最後で、それからまた始まるみたいになってんねんけど。俺が凄い好きなパターンで、ちょっとづつ上がって、ちょっとづつ落ちんねんけど、その終わるところは、最初よりは高いとこにあって。で、その落ちたところをキープしつつ、もう一回ドカンと上がって、ケツはゆーっくり落ちていって、最初と同じところにある、みたいな。山が2つある感じ」
◎自分の今の立ち位置ってどうだと思う?
「わからん。それは、未だにわからんな。他人からあーだ、こーだ言われることはあるけど、でも、俺はそうは思ってないからさ。多少、名前は知れたやろうけど、みんながみんな知ってるって訳でもないし。なんか、レビューとかでさ、俺のことが書いてあったりとか、もしくは俺みたいとか書かれてるのもあるねんけど、ふーん、って感じやし。実感は全くないな」
◎知名度的なのとは別で、カテゴライズ的な立ち位置とかは?
「あんま、ヒップホップ、ヒップホップて感じでもないんちゃう? まぁ、行く行くは歌モノとかもやりたいしさ。フル・プロデュースとか。「俺」みたいな筋が通ってればいいかな?って。「らしさ」とかさ。その「らしさ」も俺にはよくわからんねんけど、人が言うにはあるらしい。まぁ、人に言われるのは嫌じゃないけどね。でも、その辺に凝り固まらず、俺らしさを植え付けるってのが、最終目的かな」
◎俺やRyow君とか意外で国内のMCとかとやろうとは思わなかったの?
「いや、だって俺「G.R*na」やりたい!とかずっと言ってたやん?やりたいねんけど、そこら辺は俺の中での統一感とか。それはそれでまた別でやろうとか思ってるのね。国内にもカッコいいMCいっぱいいたりするし、歌とかでもやりたい人いるし。最初、半分半分でやろうとか思ったんやけど、なんか、気持ち悪いな、って。あと、海外の人とかにも聴いて欲しいしね」
◎そういうマーケット的なのも狙ったの?
「海外も是非是非、ね」
◎なんか苦労話とかないの?
「んー、取りあえず、アカペラ待つのが苛々した位っちゃう?なんせ、 みんな気ままですから(笑)。ほら、俺曲作ることに関しては結構早いほうやから。数、凄い作って、その中から選ぶっていう感じが多いのよ
ね。1曲、1曲を心魂込めて作り込むっていう感じじゃないのよね。まぁ、心は込めてんねんけどさ。その込め方。凄い細部までこだわる人とかもおるやん?そういう感じで、俺はあんま作らへん。ノリ1発的な、ね。たぶん、それが俺の「らしさ」にもつながってるのかもしれんし」
◎Premierとか、ねぇ(笑)
「そうそう、40分位MPCの前に座って、出来た!って(笑)。それがそれで格好いい訳やんか?だから、格好よければいいっていう。なんでもいい訳やないけど、なんか、まぁ、そこは1人でよがらんような格好よさ、みたいなね。そういうのがあればいいかな?って」
◎なんか、このアルバムをアピールしたいこととかないの?っと俺の中ではスタート・ラインやから
「やさ。だから、そんな……主張とかない。取りあえず、これからやと思ってるからね」
◎「頑張っていきます!」みたいな?(笑)
「これからも宜しくお願いします、みたいなね(笑)」
◎(笑)。そんなやつのアルバム買いたくない。あと、自分として人に聞いて欲しい「聞き所」みたいなのってある?
「曲間。曲間は凄い考えた。いきなりポーンって入ってくるところもあれば、ちょっと空いてるところもあるし。やっぱり、リリックが分からへんていうことでビートが主体になってくる訳やん?リスナーにとってはね。そういう上で、曲の流れっていうか、所謂ミックステープ的な流れをアルバムで作りたかったのよね。気持ちよく、常に体が揺れている、みたいなね」
◎あと、サンプリングと音源の比率とか、こだわりとか、制作手法的な部分は?
「キーボードは結構弾いてるよ。あと、ドラムは全部サンプリングやけど。Time Machineのもそうだし、Nikkoのやつはドラム以外完全にキーボード。ベースは昔から弾いてるしね」
◎話は飛ぶけど、このアルバムに貢献したものってなんかない?飯屋でもコンビニ系でもなんでもいいけど。
「んー、味酒里(笹塚にある韓国居酒屋)でのRyow君との座談会かな?まぁ、作ってたら色々悩むこともあるやんか?そういうのをぶちまけられる、みたいなね。特に終盤はね。後は本。結構いっぱい読んだ。ちょっと躓いたりした時、本読んで気分切り替えて。本って俺の中では想像力増幅材みたいな感じだから」
◎そこからインスピレーションが?みたいなこと?
「直接、この音!みたいなのは出ないけど、本って読むと色みたいなのがあるから、そういうのが無意識に反映されてたりね。ちょうどその時期に「Long Goodbuy」とか読んだよ。あれの現実と非現実の間加減が凄い良かった。俺、ずっと恩田 陸が好きやねんけど、恩田 陸もそんな感じでしょ?現実やねんけど非現実で、その両極端さがちょうどいい。ああいう感じは出したかった。他にもゲームとか映画とか。「V For Vendetta」とかも良かった。なんもしないときに「2001年宇宙の旅」とか。あれは睡眠薬みたいなもんやしね」
◎他はない?
「タバコは多いに役立った。タバコの箱がメモ帳代わりやったもん。あれは絶対忘れへんやん?そういう意味も兼ねて」
◎最後になんか言っておきたいこととかない?なんでもいいけど。
「んー、親知らずが抜きたい(笑)」
◎まったく、締まらんね……。
「まぁ、あとはなにかな。とにかく色んな人に聞いて欲しい。ジャンル問わず。聞く人によって色んなとり方が出来ると思うのよね。で、そういう人からのレスポンスが楽しみ。あと、ちょっとでも潤滑油的役割をしてくれるとええな、と。聞く人が日々生活してる上での、ね」
「あと、1人でもいいから、これ聞いてゾクゾクってして欲しい。あれが自分の最終地点やから。自分が作った曲で自分がゾクゾクってしたら、俺やめると思う(笑)」
◎なるほど。でも、最近ゾクゾクしてないよね?
「してないねー」
◎なんか、ゾクゾク加減も薄れてる気がする。それは俺たちが歳をとったからなのか、情報過多なのか、なんなのかしらんけど。でも、あのゾクゾクを知ってる人じゃないと音楽活動は出来ない気がするんだけど。
「出来へんやろうね。結局、あれ欲しさにやる訳やん?でも、音楽好きはみんな知ってるでしょ。だから、1人でも2人でもいいから、そうなってくれれば、それが理想やね」
◎でも、どうなんだろうね?自分の作った曲でゾクゾクするのかね?だって、過程を全部知ってるわけじゃない?
「だからこそ、してみたい。検証してみたい」
◎夢*みたいなもんか。
「まぁ、無意識やからな。でも、夢*は出る時も無意識やん?だから、出る時に意識のある夢*、みたいなね。でも、まぁ、その究極を作りたい」
◎まぁ、しかし、どうなの?俺とシンスキーが素面で話してるのって(笑)
「多分、初めて会った時以来っちゃう?」 |
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